2020.10.21 RELEASE
Bar Music × CORE PORT
Promising Time for 24:00 Later
RPOZ-10061 定価¥2,400 (+税)
選曲:中村智昭 (MUSICAÄNOSSA / Bar Music Shibuya,Tokyo)
時計が零時を回り、再生の息吹に満ちた音が鳴る場所へ。
渋谷「バー・ミュージック」と、トータル100枚目のリリースとなるレーベル「コアポート」がおくる真夜中の音楽。
CORE PORTは音楽への愛があるレーベルです。僕が20年前から信頼・応援するA&Rディレクターが、丁寧に誠実に愛情を注いでいます。その“音楽の港”には、小さな心の灯がともっています。
橋本 徹(SUBURBIA)
■渋谷の一角で幅広い音楽ファンのオアシスとして知られるBar Musicと、世界中の多彩な作品を届けるレーベルCORE PORTが4年ぶりにコラボレイト。ジャズやフォークにブラジル、アルゼンチン、ポーランドといった異なる国々の名演が鮮やかに交錯、さらにはスティーヴィー・ワンダー、ジミー・ウェッブ、コールドプレイの絶品カヴァーも収録した全18曲。美しい楽曲達が共鳴し、明日への道標として深く心に沁みてゆく。
■前作『Bar Music×CORE PORT』では日付けが変わる直前の夜23:00からの音楽を、そしてスピンオフ的な『Bar Music×SARAVAH』では22:00からの音楽を、それぞれ実際のBar Musicのその時間の空気をイメージしてセレクト。この新作コンピは、24:00からの変わりゆく日付けと同時に、この困難な時代に新しく再生する祈りをこめた美しい音楽集。収録曲は約1200曲のコアポート音源を中村智昭氏が徹底精査、同時代性に満ちた曲や埋もれていた曲にも新しい光をあて、Bar Musicとシンクロする世界を出現させる。
■「CORE PORTは音楽への愛があるレーベルです。コンピCD『サラヴァ・フォー・カフェ・アプレミディ』を作った2001年と『ブルー・モノローグ』を作った2012年にいただいた、ある電話をきっかけに、僕が心から信頼・応援し続けているA&Rディレクター高木洋司氏が、丁寧に誠実に愛情を注いでいます。その“音楽の港”には、小さな(しかしとても大切な)灯りがともっています。100作目のリリース、おめでとうございます。」 橋本徹(SUBURBIA)
コアポート──2014年に東京で産声をあげたレーベルの名は、「その核となる揺るぎない音楽性を有したアーティストや作品が集う港とする」という発足理念に由来する。今日までの6年間の履歴においてアメリカ、イギリス、フランス、アルゼンチン、ブラジル、チリ、イタリア、ドイツ、カナダ、ポーランド、日本といった様々な国の良質な音楽を、僕たちリスナーに紹介している。さらには2016年に天国へと旅立ったフランスの吟遊詩人、ピエール・バルーが1960年代から手掛け続けたレーベル“サラヴァ”の膨大なカタログを有することも、特色の一つである。
2020年の春、緊急事態宣言が発出され日本が、いや世界が新型コロナウィルスのファースト・インパクトに混迷を極める最中に、レーベルからのオファーは届いた。そこには、「コアポートが10月以降発売分で100枚目のタイトルを迎えるにあたり、その節目となる一枚をBar Musicとのコラボレイションで制作したい」ということ、そしてそれは5年前の『Bar Music × CORE PORT Precious Time for 23:00 Later』 、4年前の『Bar Music × SARAVAH Precious Time for 22:00 Later』のシリーズ続編として24:00をイメージしたいこと、さらには「こうした状況の中で前を向いて、希望の光が射し込むようなテイストを、願いとして刻印したい」という内容の文が丁寧に綴られていた。
かくして選曲作業に入った僕は、馴染みの曲もそうでない曲もあらためてフラットな環境で1183曲を聴いて、一旦約200曲のリストにした。そうした過程の中で、今回は過去のサラヴァ音源をあえて一切使用せず、コアポートの手で純粋に2014年以降に送り出された現代のアーティストの作品のみで結うイメージを固めた。それこそが、レーベル通算100タイトルというマイルストーンへの花束に相応わしいと思えたからだ。じっくりと複数の組み合わせを試しながら更に対象を絞り込み、最終的にCDフォーマットの収録可能時間内に組み上げた18曲のリストを伝えることができたのは、例年よりも長かった梅雨がようやく明けようとしている頃だった。その返信には、「もっと大ヒットアルバムを出す人生もあったと思いますが、でも、これも良かったのだろう。と感じさせてくれました」とあり、サブタイトルを“Promising Time”としたい旨も添えられていた。
シリーズ最初のライナーノーツにも記したが、以前インタビュー取材の中でBar Musicという場を語るときに、“小舟”をモチーフとしたことがある。豪華客船のような優雅さやスケールの大きさはなくとも、あらかじめ定められた航路はなく、丁寧に風向きと潮の流れを読みながら、日常における小さな感動の刹那に立ち会わせてくれる──。言うならば本コンピレイションCDは、2020年にBar Musicがその名もコアポートという港へ再び寄港した際の、確かな記録というところだろうか。そうして同時に、かつて“2010年代の場所に”という思いを持って開けた店にとって、また新たな10年の音楽旅行/冒険が始まる。
ご乗船、誠にありがとうございます。時計は零時を回り、貴方に、明日への再生の刻が訪れようとしています。
2020年9月 中村智昭(MUSICAÄNOSSA / Bar Music Shibuya,Tokyo)
本作はコアポートとして100枚目のリリースとなるが、今年はBar Musicの開店10周年でもある。コンセプトを維持し、ある時は発展させながら続けていくことの困難さというものがあり、今年はその困難さに拍車がかかった年である。これは多くの方が経験中のことだろう。こんな時に前を向き、必ず明日がくるはずだという人間の可愛らしい希望に応える原動力を音楽はもっている(そのことを我々は経験上知っている)。ただの数字ではあるが、それでも100枚目という作品にはそんな優しさを内包しつつ、同時に前進していけるインテンシティをもったものにするべきだと思った。コンテンポラリーだがクラシックでもあるという、そんな音楽を紹介したいと思っているコアポートの考え方ともリンクするだろう。その時、Bar Musicの中村さんの顔が浮かんだ。お店でかかる音楽は常に心地よく、同時に凛とした一本の太い木のような選曲。コンテンポラリーで旬な音楽の中から永遠の本質を見出し、古い音楽の中に潜んでいる同時代性を感じとる。優しさとインテンシティと同様にそんな両面性が必要だと思い中村さんの選曲センスに頼ったのだが、それは理想的な形として仕上がったと思う。このCDを聴いてくださっている方がそんなテイストもイメージしつつ、何かしら前を向いていける、必ず日付けはめくられるという夜の時間を感じていただければとても嬉しいです。
収録曲にはコアポートのレーベル・イメージを形成してくれたアーティストが数多くいる。女性ジャズ・ヴォーカルは多くリリースしているが、中でもそのサウンドの変遷と成長速度が素晴らしいベッカ・スティーヴンス。彼女のキャリアは発展していくほどにシンガーソングライターとしての核がより強化されていくようだ。クラシックを出発点としながらも、自身の映像的センスをエレクトロニカに反映させて独自のピアノ・ミュージックを展開しているハニャ・ラニ。グランドピアノとアップライトピアノそれぞれの美しい音像を作り出すスワヴェク・ヤスクウケ。ジャズと共に故郷である南米チリのポピュラー・ミュージックとしての特徴、背景をサウンドに滲ませるカミラ・メサ。ブラジルの豊かな自然を、ピアノと歌、ストリングスで小宇宙のように描写したゼ・マノエウ。そのブラジル音楽をも呑み込んで鋭いジャズ表現を続けているベン・ウェンデル。その他いずれも様々な角度をもちつつも、自身の音楽としてひとつの方向に収斂させているアーティストばかりだと思う。
最後に、これら音楽を紹介し続けていけるのは、コアポート作品を聴いていただいている音楽ファンの方々がおられるからです。改めて感謝しつつ、その気持ちを101枚目以降の作品紹介につなげていきたいと思います。
2020年9月 髙木洋司 (CORE PORT)
NOW ON SALE
◆深い夜、さらに音楽が心に響く特別な時間へ。
渋谷「バー・ミュージック」とレーベル「コアポート」が全音楽ファンにおくるミッドナイト・ミュージック。
『『Bar Music × CORE PORT Precious Time for 23 :00 Later』RPOZ-10010
◆やわらかな明かりが灯る夜、音楽に心躍る幸福の時へ。
渋谷「バー・ミュージック」とフランスのレーベル「サラヴァ」が全音楽ファンにおくるミッドナイト・ミュージック。
『Bar Music × SARAVAH Precious Time for 22 :00 Later』RPOP-10015